レジャーやお出かけにアカデミックなスパイスを。歴史や成り立ちを知ると楽しさが増すはず!な記事

フクロウナビ編集部

家族や友人と一緒に楽しむレジャーやお出かけはリフレッシュできるひととき。子ども心に返ってとにかくストレス発散!もしつつ、そこにアカデミックな視点を加えてみるとさらにおもしろさが深まるかもしれない。今回はレジャーをもっと楽しむためのヒントになる3本の記事を紹介したい。

記事をおすすめした人

フクロウナビ編集部

日々さまざまな分野の研究成果や学術知に触れるフクロウナビ編集部員たちが、それぞれの興味や関心をもとにテーマを立てて、おすすめしたい記事を紹介します。

見るだけじゃもったいない!ひと味違う動物園の楽しみ方

まずは紹介するのは動物園に関する記事。天王寺動物園(大阪府)を訪れ「文化的な動物園の楽しみ」を味わおうというものなのだが、一体どういうことだろうか。指南役は、人と動物の関係史を研究する関西大学の溝井裕一先生だ。

現在のように市民に開かれた動物園ができたのは、19世紀のヨーロッパといわれる。ただそこは、帝国の権威を示すために動物を囲っておく場所だったそうだ。「人間が中心ですから、動物たちにとっての快適さなどはあまり考慮されていませんでした」と溝井先生。当時の価値観の怖さを感じつつ、自分が子ども頃の動物園も、狭い檻の中でウロウロする動物が多かった気がする。

流れが変わってきたのは1960、70年代。環境保護運動、人種解放運動、女性解放運動などとリンクして、動物園のあり方にも批判が起こり、生息環境を可能な限り再現した展示が増えていったそう。では、現在の天王寺動物園の展示はどうなっているのか?溝井先生の見どころ解説を通じて、各エリアにさまざまな工夫がなされていることがわかる。他の動物園に行くときも、展示方法にも注目してみるとおもしろそうだ。

絵画のなかのメッセージを考察!女性の芸術家にも注目

次は美術館に行ってみたくなる記事。すでにアカデミックで敷居が高い感じもあるが、絵画に込められた意味や内容を読み解くと聞けば『ダ・ヴィンチ・コード』みたい!とワクワクしないだろうか…??

西洋絵画では伝統的な表現のルールがあり、それを知ると「それまで見えなかった意味が浮かび上がってくる」と千葉大学の美術史研究者、川合真木子先生。記事では、絵画に描かれた本や犬が何を意味するのかが紹介されている。また、画家による自画像にも、キャンバスにそっとアピールポイントを潜ませていた例があるそうで、SNSのアイコンや投稿内容などにも通じるところがあるように感じた。

さらに気になったのが、17世紀イタリアで活躍したアルテミジア・ジェンティレスキという画家について。男性中心の美術界で大成功を収めた女性で、数々のエピソードも紹介されている。他にも同時代に女性の芸術家はいたようなのだが、あまり知られていないのはなぜなのか?そのあたりも記事ではふれられており、過去の美術をみるときに考えておきたいことの一つともいえそうだ。ルネサンス期イタリアを舞台にしたマンガ『アルテ』が好きな人にも、この記事は興味をもってもらえるかと思う。

海賊の真の姿って?ロマンと歴史との違いを知る

最後は、特定のこの場所というものではないが、海賊についての記事を紹介する。テーマパークや遊園地のアトラクションはもちろん、公園の遊具に海賊船モチーフのものがあるなど、海のならず者たちはわりと身近で、恐ろしさと魅力を兼ね備えたロマンあふれる存在だ。ただ歴史学からみれば、その真の姿はちょっと違うらしい。

近世イギリス史を専門とする立命館大学の薩摩真介先生によれば、そもそも近世ヨーロッパには「政府が認可した公的な掠奪行為」があり、商船などを襲う掠奪行為をしていたのは海賊だけではなかった。合法な掠奪(!)を国家がコントロールするなかで、そこに含まれない「勝手に掠奪する人たち」が海賊とされていったという。

驚いたのが、18世紀初頭になると海賊はある意味「民主的」な組織だったというお話。トップとして君臨していそうな「船長」も、実は仲間の代表くらいの立場で、クビになることもあったとか。意外とまとも…?と思いつつ、“やけっぱちな人たち”ではあったとされる。薩摩先生は、アンチヒーローのように美化するのは違和感があるとも指摘する。イメージと歴史学とのギャップを楽しめる記事なので、ぜひ詳しくはこちらから。

歴史を知ると、実はこうだったのか、だから今こうなっているのか…そんな背景やつながりがみえてくる。楽しいレジャーやお出かけのときに、何気なく見ていたものがちょっとおもしろくなる、もっと知りたくなる、というきっかけになればうれしい。

※「キュレーション記事」は、フクロウナビで紹介されている各記事の内容をもとに書かれています。紹介する記事のなかには、記事が執筆されてから時間が経っているものもありますのでご注意ください

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